15-1. タンパク質工学
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タンパク質工学
タンパク質を作製、利用する技術
タンパク質の製造はペプチドであれば化学合成が可能である
→この分野は特にペプチド工学という
通常のタンパク質ではその多くが遺伝子工学を利用して細胞内で行われており、非常に多くの蛋白質がこの手法によってつくられている
表15-1 遺伝子工学, タンパク質工学で作られている主な製品
医薬品
ホルモン(インスリン、成長ホルモン、ソフトメディン、グルカゴン)
生理活性物質(インターフェロン、インターロイキン、プラスミノーゲンアクチベーター、G-CSF、エリスロポエチン、トロンボポエチン、血液凝固第VIII因子)
受容体結合活性化因子(トロンボポエチン、エリスロポエチン)
受容体結合性抑制因子(成長ホルモン)
血液タンパク質(血清アルブミン、ガンマグロブリン、単クローン抗体)
酵素関連(DNase、プロテアーゼ阻害剤)
ワクチン(B型肝炎ウイルス、百日ぜき毒素、ヒトパピローマウイルス、エイズウイルス(HIV-1))
その他
アミラーゼ(糖化剤)、グルコアミラーゼ(糖化剤)、プロテアーゼ(洗剤)、リパーゼ(油脂加工, 洗剤)、キモシン(チーズ凝固剤)、セルラーゼ(洗剤、バイオマス処理)
1) タンパク質工学の利点
過剰発現系
タンパク質過剰産生系では、細胞の目的タンパク質濃度が数~数十%に及ぶため、大量生産が可能となり、精製も容易で、不純物の少ない標品が得られる
タンパク質が培養液に分泌される場合も夾雑物は少なくなる
このような取り組みにより、アレルギー物質や発熱物質といった毒性物質の混入を減らしたり、ウイルスなどの病原体の混入を防止するなど、生体からタンパク質を得る際に生じる潜在的な危険を回避できる
構造の改変
タンパク質工学の最大の特徴
DNAの変異を介してタンパク質自身の構造を簡単に改変させられること
産生量を高めたり、付加価値の高いもの(e.g. 高活性、低毒性、高安定性/保存性、高嗜好性)、目的にあったもの(e.g. 溶解性、至適pH、至適温度の変化したもの)を得ることが容易になる
有効性
タンパク質が糖鎖付加などの修飾を受けて活性をもつ場合、化学合成品では活性を持たないものでも活性のあるものを得やすい
2) 応用例
主要な利用分野は医療
ホルモン、生理活性物質、血液タンパク質、ワクチン、そして種々の結合タンパク質(e.g. 抗体、抗体結合タンパク質、ウイルス結合タンパク質)など
産業分野での利用
食品工業における糖化剤(e.g. アミラーゼなどの酵素)や化学工業における消化酵素(e.g. プロテアーゼ、セルラーゼ)などが特に多く利用されている
3) タンパク質の設計
希望する品質のタンパク質を得るには2通りの方法
経験的設計
該当する遺伝子にランダムに変異を入れてそれを大腸菌などで発現させ、ファージディスプレイなどの方法で多様なタンパク質を作製し、それをスクリーニングするという方法
得られたクローンを使ってこの方法を繰り返すことにより、タンパク質を高速に分子進化させることができる
合理的設計
タンパク質の構造と機能を理解したうえでアミノ酸配列と機能の関連性を予想し、そこから新たなタンパク質構造を設計するという方法